【その1】
木にたとえれば、花や実が人、根が先祖、つまり墓である。
墓を正しく建て、先祖を篤(あつ)く供養すれば、自ずと人の運も開けてくる。
【その2】
親の墓は子が建てるようにする。そのことによって存続が確立する。墓は相続のものである。
【その3】
古墓を整理する時も、祖父母以下の墓は残すようにする。そうした墓は、木で言えば立根である。
【その4】
分家には分家の墓地が要る。墓は家の根である。分家という家にも根がなくてはならぬ道理である。
【その5】
夫婦は、一基の墓に祭る。これは陰陽そろったもので、寿徳(じゅとく)がある。
【その6】
墓と家は見合っているのがよい。墓は陰宅(いんたく)、家は陽宅(ようたく)である故、陰陽のつり合いがとれていねばならぬ。
【その7】
たとえ親類であっても、他家の霊を自家の墓地に祭るのはよくない。家運が複雑になる。(絶家の祭り方は、その二十三を参照のこと。)
【その8】
墓は、拝み石・中段の石・下段の台石の三石によるのが定相である。三石は、下から順に福・禄・寿の徳を受け持つ。
【その9】
墓の福石(ふくいし)は一枚石がよい。禄石(ろくいし)は厚いのがよい。寿石(じゅいし)の奥行は巾と同じにする。
【その10】
墓文字は檀那寺(だんなでら)の住職に書いてもらうのがよい。それは霊界のものである。
【その11】
墓の正面には戒名を刻し、俗名は側面に入れる。
死ねば戒名が名である。家紋、位階勲等(いかいくんとう)、履歴などのような現世的なものは墓石には入れぬようにする。
【その12】
年頃になって死んだ娘の墓は、上に観音像をおのせする。子供の場合は、地蔵尊の立像をおのせするのがよい。
【その13】
草木の生えぬような地は、墓を建てるに適さない。
風水学では、草木の生ぜざる土地には住せず、というが、墓地も同じで、地徳(ちとく)がなくてはならぬ。
【その14】
墓地には境界が要る。これがないと独立性の弱い家運となる。また、墓徳(ぼとく)も散りやすい。
【その15】
墓のことをするには、功徳(くどく)が要る。功徳(くどく)をぬきにして、墓石の形や色や大きさなどだけいうのは、墓相ではなく、石相の段階のものである。
【その16】
墓は外から直せるものではない。 功徳(くどく) によって、中から直ってくるものである。
【その17】
功徳(くどく)を積む一般的な法は、写経である。
経を小石に書き写したものを
※写経石(しゃきょういし)というが、これを墓地に建てる塔などの下に納めるのである。
※写経石とは:鶏卵大の小石に経を謹書したもの。「般若心経」あるいは、その家の宗旨による経文を書くようにする。六字の名号または、お題目などを書くのもよい。写経を行じることによって、施主は自分の罪障消滅ができ、墓のことをする資格が得られる。同時のこの写経石を墓地に納めることによって、霊への追福ができる。
【その18】
墓地には、宝篋印塔(ほうきょいんとう)か五輪塔を建てるのがよい。
塔は、功徳聚(くどくしゅう)である。加えて、塔には中心の徳もある。
いずれも功徳聚(功徳が集まってかたまったもの)である。
宝篋印塔は中国より伝来された古式のもので、宝篋印陀羅尼(ほうきょういんだらに)という経を納めた塔。この塔の経つ所は豊財園という大福地といわれる。
五輪塔は平安時代に起源があり、地水火風空の五代を象った(かたどった)塔。
【その19】
古墓を整理する時は、塔を建てて、その下に整理した墓のお骨を納める。かくすれば、霊の不足がない。
【その20】
古墓を整理して不要になった墓石は、割ったり埋めたりせず、祭る形で処理するのがよい。特に、拝み石は丁重に扱わねばならぬ。
【その21】
総墓一基だけですますのは関心しない。止むを得ぬ場合は、下に写経石(しゃきょういし)を納め、経徳によってその欠を補うようにする。
【その22】
塔などに写経石(しゃきょういし)を納める時に、写経石(しゃきょういし) とお骨とが接しないようにせねばならぬ。
【その23】
絶家の霊は、塔を建てて祭るのが良い。
墓では相続者が要ることになる。
【その24】
墓の納骨室の底は、土のままにしておく。地徳(ちとく)を受けるためである。
また、コンクリートで塗ったりすると、水がたまりやすい。納骨室やお骨壷に水がたまるのはよくない。
【その25】
立派な墓を建てても、墓参りをせねば意義は半分以下のものとなる。
墓は祭りに篤(あつ)きが吉相と言える。
【その26】
墓参りは、三つから成り立つ。
一は清掃である。二は供え物で、水と火は特に大切である。三が読経である。